なぜ高額療養費制度は改悪されるのか?
高額療養費制度は、医療費負担を軽減し、必要な治療を経済的理由で諦めることのないように設計された制度である。しかし、今回の改定により、多くの国民にとってその恩恵が後退し、特に中間層や低所得のサラリーマンに深刻な影響を及ぼすことが懸念される。
現在打ち出されている改定では、所得に応じた自己負担の上限額が引き上げられ、多くの家庭で医療費の支出が増加することが予想される。政府の説明では「被保険者の保険料負担の軽減を図る」ことを目的としているとされているが、それがなぜ療養者の負担増という形で実現されるのか、その論理は理解し難いものであると感じている。
高額療養費制度の現場の実情
訪問看護事業を運営している立場から、実際に制度の影響を受ける人々の声を日々耳にしている。例えば、月18,000円の上限額ですら支払いに困難を示す方が多く存在するのが現実だ。これは低所得者層に限らず、中間層の人々でも同様である。
特に、がん治療や緩和ケアを受けている患者の中には、家族が生活費を切り詰めながら治療費を捻出しているケースも少なくない。「自分の治療にはお金をかけたくない」と、痛みを耐えながら最期の時を迎える方もいる。こうした実情を踏まえれば、制度の改悪が何をもたらすのかは明白であり、必要な医療を受ける権利が経済的理由によって奪われることになる。
生活保護者との格差
一方で、生活保護受給者には自己負担ゼロで医療が提供されるという現実がある。もちろん、生活保護制度は社会保障の重要な柱であり、その意義を否定するつもりはない。しかし、必死に働きながら医療費と生活費を賄っている人々がさらに重い負担を背負う一方で、生活保護受給者は一切負担なしという仕組みが公平なのかという疑問は拭えない。
これが「助けを必要とする人々を支える社会」の理想的な形なのか?税や保険料を納めている人々が苦しみ、制度の恩恵を最大限に受けられない状況は、社会保障制度のバランスが崩れているように感じる。
制度改変のタイミングの問題
確かに、高齢化や医療費の増加を背景に、制度の見直しが必要になることは避けられない。しかし、今このタイミングで本当に高額療養費制度を改定しなければならないのか、慎重に検討されるべきではないだろうか。
特に、新型コロナウイルスの影響で多くの家庭の経済状況が不安定になり、さらに物価の高騰が家計を圧迫している現在において、医療費負担の増加は直接的な生活の困窮に繋がりかねない。現実的に、多くの人々が「治療を諦める」という選択を迫られる可能性が高まる。
患者団体への意見聴取の欠如
今回の改定にあたり、政府が患者団体に十分な聞き取りを行っていないという報道もある。これは、制度を実際に利用する人々の意見を反映せずに、一方的な決定が下されたことを示唆している。
厚生労働大臣の発言では「被保険者の負担軽減を図るため」とされているが、実際には療養者の負担は増えている。この矛盾した政策決定がなぜ行われたのか、国民として納得できる説明が求められる。
政府は誰を守りたいのか?
今回の改悪は、結果的に「むしり取れるところから取る」姿勢とも解釈できる。社会保険料の負担は増え続け、実際に医療を必要とする人々の負担も増大している。一方で、大企業の法人税減税や、富裕層に有利な税制改革が進む中、負担を背負うのはいつも一般庶民である。
本来、社会保障制度とは「困ったときに頼れる仕組み」であるべきだ。しかし、現状では「制度の穴を埋めるための負担増」という方向に舵が切られているように思える。このままでは、医療を受けられない人々が増え、健康格差が拡大し、最終的には社会全体の医療費負担がさらに増加する悪循環に陥るのではないだろうか。
結論:今一度考え直すべき
今回の改定に関して、看護協会や医療団体がどのような声明を出すのか注目したいところではあるが、国民一人ひとりがこの問題について考え、声を上げることが求められる。事実、会社としても弊社スタッフやその家族が今回の改悪の影響を直接受けるのではないかと危惧している。スタッフやその家族の療養生活担保の根幹を揺るがしかねない子の改悪は是が非でも避けたいところである。
高額療養費制度は、日本の医療制度の根幹を支える重要な仕組みである。短絡的な財政削減策ではなく、国民が必要な医療を安心して受けられる社会の実現に向けて、本当に必要な改革を進めるべきではないだろうか。
政府は何を守りたいのか、誰を助けたいのか。 その答えを、国民の声を反映した形で示してもらいたい。また、看護協会やその他連盟がどのような声明を発するのかにも注目したいところである。
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