訪問看護を利用する際に、「料金の仕組みが分かりにくい」と感じる方も多いのではないでしょうか。本記事では、訪問看護の料金体系について、介護保険と医療保険の違いや、利用者の負担割合、支払い方法などを分かりやすく解説します。
1.介護保険と医療保険のそれぞれの料金体系について
訪問看護サービスは、利用者の身体的状況によって介護保険または医療保険が適用されます。利用者はそれぞれの保険を用いて、自己負担料は1~3割となっています。それぞれの料金体系について、具体例を交えて説明します。
介護保険の場合
介護保険を利用する場合、訪問看護の費用は介護保険の単位に基づいて計算されます。例えば、要介護3の方が週2回看護師訪問を受け、さらに週2回リハビリを利用する場合、以下のような月額料金となります。
例:長岡京市や京都市の場合(5級地)
- 看護師訪問(30分以上60分未満):823単位×2回/週×4週間=6,584単位
- リハビリ訪問(40分):588単位×2回/週×4週間=4,704単位
- 合計:11,288単位
1単位あたりの金額は地域ごとに異なりますが、5級地(長岡京市・京都市など)では約10.7円となるため、 11,288単位 × 10.7円 = 約120,781円(1割負担なら12,078円)となります。
ちなみにですが、訪問看護サービスでは要介護度が変化しても単位数は変わりませんので料金は変わりません。ただ、要支援と要介護では単位が変わりますので、同じサービス回数でも料金は要支援の方が安くなります。
介護保険については別のブログで紹介していますのでこちらをご参照ください。
医療保険の場合
医療保険を利用する場合は、1回あたりの訪問料金が定められています。例えば、訪問看護基本療養費として1回の訪問につき8,550円がかかり、1割負担なら約860円の自己負担となります。これだけだと単純明快なわけですが、実は医療保険は条件によってややこしい設定があります。
病院でも月初日に受診した場合は初診料がかかるように、訪問看護でも月の初日だけは12,990円になります。
また、週に3日目までは8,550円ですが、4日目からは9,550円になります。つまり、訪問回数が多いということは重症度が高く訪問看護がより頻回に必要な状態としてみなされるため、料金が1,000円上がるということですね。自己負担が1割であれば100円上がるという計算です。
加算というシステムにも要注意
一回当たりの訪問料金については前述したとおりですが、訪問看護サービスにおいて介護保険と医療保険ともに状態に合わせて加算が追加されます。身体的状況によって加算されるもの、希望に沿って取られる体制によって加算されるものがあります。
身体的状況による加算
・自宅で点滴をする
・胃ろうなどの栄養チューブから栄養剤を注入する
2.介護保険の級地について
介護保険の訪問看護費用は、地域によって異なる「級地」によって決まります。例えば、長岡京市や京都市は「5級地」に該当し、1単位あたり約10.68円と設定されています。級地が低い地域ほど単位単価が高くなり、都市部ほど単価が低くなります。この級地は、公務員(国家・地方)の地域手当の区分に準拠し設定されています。
「引用:厚生労働省 老健局 社会保障審議会介護給付費分科会(第243回)資料1より(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001360843.pdf)」
3.利用者の負担割合について
訪問看護の費用負担割合は、利用者の収入状況によって異なります。
- 1割負担:一般的な収入の方
- 2割負担:一定以上の所得がある方
- 3割負担:高所得者(課税所得が一定額以上)
この収入のラインについてはややこしいので、画像でご説明します。
まず介護保険は以下の画像の通り、年間合計所得金額で負担割合が変化します。
「引用:厚生労働省 老健局 社会省審議会介護保険部会(第107回)参考資料2より(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001119101.pdf)」
医療保険の自己負担割合については以下の画像の通りです。世帯内を含めた課税所得で判断されます。
「引用:大阪府後期高齢者医療広域連合 自己負担割合より(https://www.kouikirengo-osaka.jp/longlife/selfload.html)」
4.支払方法について
訪問看護の料金の支払い方法は、以下のような方法があります。
- 口座振替:毎月決まった日に利用料金が口座から引き落とされる。
- 銀行振込:請求書が発行され、指定の口座に振り込む。
- 現金払い:事業所によっては現金での支払いも可能。
- クレジットカード払い:対応している事業所も増えている。
弊社の場合だと、口座振替が最も多く利用してもらっています。残高不足がで引き落としができないというケースもありますが、双方に金銭授受の機会が少ないので効率的ともいえます。現金払いも一部承っています。クレジットカード払いは対応しておりません。このように事業所によって対応可能な支払方法が異なるので、契約時の確認は必須かと思われます。
5.指定難病受給者の場合の料金支払いについて
指定難病受給者は「特定医療費(指定難病)助成制度」によって、訪問看護の費用が助成されることがあります。
- 自己負担額の上限が設定されており、所得に応じて月額負担の上限が異なります。
- 例えば、低所得者の場合、自己負担額は0円~2,500円程度に抑えられることがあります。
- 手続きを行うことで、自己負担額が減免されるため、事前に確認しておくことが重要です。
この制度についてはまた別の機会で詳しく記事にしようと思います。
6.まとめ
訪問看護の料金体系は、介護保険と医療保険のどちらが適用されるかによって異なります。また、介護保険の級地によって単位単価が変わり、利用者の負担割合も収入に応じて異なります。支払い方法も複数あり、指定難病受給者は助成制度を活用することで負担を軽減できます。
訪問看護を利用する際には、事前に料金の仕組みを理解し、自分の状況に合った支払い方法や助成制度を確認することが大切です。
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