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訪問看護ステーションに求められる役割とは

訪問看護ステーションに求められる役割とは

こんにちは。いずみ訪問看護リハビリステーション長岡京の大久保です。今日はタイトルの通り、私が思う訪問看護ステーションに求められる役割について話していきます。

『病院と在宅の狭間で苦慮している人を如何に在宅に定着させるか』が訪問看護ステーションに今後さらに求められる役割だと考えています。もちろん、この狭間ではなく
訪問看護を必要としている方も当たり前に支援していくのは言うまでもありませんよね。国が病院、とりわけ病棟機能を地域への移管を図っていることは周知の事実ですが、ひも
解いてみると構図がより分かりやすくなります。
例)
・病棟看護師の巡視→訪問看護師による居宅訪問
・病棟看護師によるケア→訪問看護師による居宅訪問
・日中だけ病室からナースステーションで過ごす→デイサービス
・夜間だけ病室からナースステーションで寝てもらう→ショートステイ
上記の例のように、病棟機能を在宅支援サービスに置き換えることができます。そして、訪問看護、デイサービス、ショートステイを併せ持ったサービスと言えば看護小規模多機能居宅介護になります。国が看多機を推し進めたい理由はここにあると思っています。病院から退院できるかどうかは在宅支援の資源が整っているかどうかで概ね決まります。治療がひと段落して自宅での生活が問題なく送れるだろうと判断されると退院調整がなされます。この場合は何もトラブルなく在宅に復帰します。それは本人が自立した生活を送る能力を獲得しているからに他なりません。こういった方には訪問看護や訪問介護は必要ないケースが多いです。一方で、複数の疾患を有している高齢者の場合は状況が異なります。ストーマが増設されパウチ交換が必要な方、認知症の急性増悪により他者の支援が必要な方、癌が全身に転移し痛みのコントロールの継続が必要な方、脳卒中後で退院後も継続的なリハビリが必要な方、これらの方々は本人の能力だけでなく、家族やその他支援者からの支援を受けることによって生活が担保されるケースが多く見られます。こういった方々には訪問看護や訪問介護、デイサービス、福祉用具などを活用することで概ね退院後の生活が整うだろうと予測が容易であるため退院が調整されますよね。この辺りは、現在の訪問看護ステーションが担っている役割になっていると考えます。

では、上記の状態・状況に該当しないような方は退院できないのでしょうか?独居で家族も遠方、かつ寝たきり状態であるならば、いくら訪問看護や訪問介護を利用しても、訪問
していない間の生活のことを考えると、退院させられないという決断を下すことは多々あります。そういった場合は、たいてい療養病院に転院したり、老人保健施設に入所させリハビリを経て退院の流れを作ったりという手続きで対応されることが多いです。しかし、そういった受け入れ先が常に空いているわけではありません。となると、無理やりにでも自宅退院を余儀なくされるケースも出てくることが予想されます。さらには、病院 DPC の兼ね合いで、亜急性期状態のまま在宅へ帰すという事例も出てくることが予測されます。むしろ、昨今の診療報酬改定の変遷を見ると、亜急性期の状態で在宅へ帰していく流れが作られているようにも感じます。社会保障費の削減という視点も絡まっていますが。だからこそ、国は亜急性期の医療依存度が高い方を支えられる訪問看護ステーションの育成に予算を割いている印象を受けます。看護師特定行為制度がその最たる例です。医師のタスクシフトとして看護師に医師の診療権を一部移管することを認めている制度です。まだまだ整っていない制度、言い換えると医師側に浸透していない制度ではあると感じていいますが、在宅で医師のように脱水や栄養に対して点滴などを含む治療方針を推し進め判断したり、難治性の潰瘍や褥瘡に対してデブリートメントが可能となったり、気管切開チューブや胃ろうチューブの交換が可能となったりしている。この特定行為を取得させるために予算を割いているようです。今までは亜急性期でも病院管理が必要だった患者が在宅でも同じように医療、看護、リハビリを受けることができるようになれば、言い換えると在宅側の支援体制が整えば、今まで退院できなかった方が自宅に復帰できるような体制が構築できるようになります。この体制にはバックオフィス機能も含まれます。これらを踏まえると、訪問看護ステーションには質が高く、多様性のある対応が求められることは明白です。まさしく、時流によって訪問看護ステーションに求められる役割・ニーズは変化していくだろうと断言できます。

さて、ここまで前提が長くなってしまいましたが、伝えたいこととしては、「この方がどうやったら自宅で安心して過ごせるかどうか」に焦点を当てて日々の業務に臨んでほしいということです。自宅での生活は無理だろうと決めつけるのではなく、他に使える資源やサービスはないだろうかと模索してほしいところです。我々は専門職でプロフェッショナルなので、“こちら都合で簡単に無理と判断してしまうこと”は、本人の【退院して自宅で過ごしたい】という思いを蔑ろにしていることと同じことになってしまいます。時にはマンパワー行使で、1 日 3 回以上訪問しなければならないケースもあります。足の踏み場がないような、およそ衛生的な環境が整っていない住居(夏は異臭、虫が大量発生している)に住む方への衛生的処置やリハビリが必要な方もいます。長岡京ではほとんどそういう訪問先はすくないですが、全国的にみると制度の狭間に位置することで十分なサービスを享受できない人は多くいらっしゃいます。そのような人を目の当たりにしたときに、報酬なんて二の次で全力でぶち当たっていくことを厭わないチームにしたいと常々考えています。人は楽をしたい生き物なので、相対的に負担が少ない訪問にだけ行って、しんどい訪問は断ってほしいとか、撤退したいという感情も生まれやすいです。では、利用者本人や家族の思いはどうだろうか。「退院して自宅で過ごしたい」という至極真っ当な思いには誰が寄り添ってくれるのだろうか。他ステーションが受けてくれるだろうという考えは私にはまずありません。誰もやらないんだったらうちがやる。そういったステーションに在籍している認識は持ってほしいとスタッフには常々思っているところです。一方で、スタッフに危害が加わるような場合はその限りではありません。スタッフありきの訪問看護ステーションなので、その線引きは明確に行っています。弊ステーションは大規模化しているからこそ、このメンバーだからできるサービスや質があり、それらを目指せる素地が整っていると断言できます。

まとめ

弊社のビジョンにある『医療・介護・福祉におけるインフラの質を向上させ続ける』、バリューにある『安心して地域で暮らせるサービスを提供する、ワクワクしながら一歩ずつ調整し続ける』という思いを体現するということは、このような医療と在宅の狭間で苦慮している方を支援して在宅生活に繋げていくことです。これらを達成するために、スタッフ一人ひとりの力が必要である。新しいチャレンジはリスクを負うし不安やストレスも溜まります。10 年後 20 年後に「あの時はよく乗り越えたね」と語り合えるチームになっていることを信じています。すべての人が不条理さや不合理さに晒されることなく、当たり前に生活する権利を得るために私たちがいます。スタッフ一人ひとりがこのマインドを持ち続けてほしいと願うところから、訪問看護ステーションの役割を発揮するための第一歩だと考えます。

 

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いずみ訪問看護リハビリステーション長岡京
いずみ訪問看護リハビリステーション長岡京 サテライト寺戸
の2事業所を運営しています。
訪問看護の訪問エリアは長岡京市を中心に、京都市、向日市、大山崎町、久御山町に訪問しています。
今後は居宅介護支援事業所の開設を目指して主任ケアマネジャーを募集しています。
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2025.01.20